ひざの痛みを感じて来院される方の多くが、「年齢のせいだから仕方がない」「使いすぎただけだと思う」と話されます。
確かに、加齢は変形性ひざ関節症の一因ではあります。
しかし、実際の臨床現場で多くの方の身体をみていると、ひざだけを原因として考えるのは少し視野が狭いように感じます。
柔道整復師として施術に携わる中で強く実感するのは、ひざの痛みと「足元」の状態には非常に深い関係があるということです。
ひざの痛み、一人で抱え込んでいませんか?
当院にひざの痛みで相談に来られる方の多くは、「もう年だから仕方ない」「使いすぎちゃったかな」と少し寂しそうに話されます。
確かに、年齢を重ねる中でひざの軟骨が少しずつ変化していくことは自然なことでもあります。
ですが、日々たくさんの方の体に向き合っている柔道整復師としてお伝えしたいのは、「ひざの痛みは、ひざだけの問題ではないことが多い」ということです。
実は、あなたのひざを支えている「足元」の状態が、痛みの鍵を握っていることが非常に多いのです。
ひざは「建物の2階」のようなもの
ひざ関節は、上にある「股関節」と下にある「足首(足関節)」のちょうど真ん中に位置しています 。例えるなら、ひざは「建物の2階」、足元は「土台」です。
土台である足元がぐらついたり、不安定だったりすると、その上にある2階(ひざ)が一生懸命バランスを取ろうとして、無理な負担を背負い込んでしまいます。
特に、股関節の筋力が不足していると、お尻の筋肉で体重を支えきれず、さらにひざへの負担が増えてしまうこともあるのです 。
外反母趾や偏平足が「ひざのねじれ」を生む理由

ひざの痛みに悩む方の足を拝見すると、偏平足(土踏まずがつぶれた状態)や外反母趾が見られることがよくあります。
これらの状態は、単に「足の形が気になる」というだけのことではありません。足裏のクッション機能がうまく働かなくなると、歩くたびに衝撃が吸収されず、ひざが内側や外側にグイッとねじれるような力が加わり続けてしまいます。
この「小さなねじれの積み重ね」が、何年もかけて少しずつ軟骨に負担をかけ、変形性膝関節症へとつながっていくのです。
「お皿」の動き、スムーズですか?

もう一つ大切なのが、ひざの「お皿(膝蓋骨)」の周囲の柔らかさです。
お皿は、ひざを曲げ伸ばしするときにレールの上を滑るように動きます。
ですが、お皿の周りの筋肉や腱が硬くなっていると、この「滑る動き」がスムーズにいかなくなります。
お皿周りがガチガチに固まると、動くたびに関節内部に余計な摩擦が起き、熱感や腫れの原因にもなってしまいます。
筋力をつけることも大切ですが、まずはお皿が心地よく動けるように「柔軟性」を取り戻してあげることが、痛みを和らげる近道です 。
足元から整えて、未来の歩みを守りましょう
変形性膝関節症は、決して「なったら終わり」の病気ではありません。
初期の段階から、ひざだけでなく「足元(足裏の筋肉)」を整え、お皿周りの柔軟性を高めるケアを始めれば、1〜3ヶ月ほどで「おっ、少し楽になったかも」という変化を感じられることも多いのです 。
無理に激しい運動をする必要はありません。大切なのは、土台である足の使い方を見直し、正しい方向に少しずつ体を整えていくことです。
ひざが痛むときは、「ひざが悪い」と自分を責めないでください。
それは体が「土台を見直してほしい」と送ってくれているサインかもしれません。まずは足元に目を向けることから、私たちと一緒に「一生自分の足で歩くための準備」を始めてみませんか?
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