難治性の慢性痛と戦う接骨院「うえ接骨院」の上野です。
まず変形性股関節症と向き合うために必要なのは、この病気について正しく知ることです。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉がありますが、まさに最初の一歩は理解することから始まります。
ここでは、変形性股関節症の基礎知識について整理します。
そもそも股関節とはどこにあるのか
変形性股関節症は、その名の通り「股関節」に起こる病気です。
まずは股関節がどのような構造をしているのか簡単に確認します。
股関節は骨盤の一部にあり、骨盤側のお椀型のくぼみ（臼蓋）に、太ももの骨の先端にある球状の骨（大腿骨頭）がはまり込む構造になっています。
正常な股関節では、この球状の骨が滑らかに動くよう、軟骨がクッションや潤滑の役割を果たしています。
変形性股関節症とはどんな病気か
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減っていき、骨に変形が生じる病気です。
軟骨が傷ついたり擦り減ったりすると、骨どうしが近づき、摩擦が増え、炎症や痛みが起こります。
進行すると骨が変形し、日常生活にも影響が出ることがあります。
この病気の特徴
特に40～50代の女性に多くみられます。原因としては、軟骨の消耗や炎症が関節や骨に負担をかけることが挙げられます。
また、幼少期に発育性股関節形成不全（先天的に股関節が不安定になりやすい状態）があった場合、比較的若い年齢から症状が現れることがあります。
日本の患者数について
整形外科学会の発表（平成26年度）では、変形性股関節症と診断された人は約300万人とされています。また、人工股関節置換術を受ける方は年間約6万人と報告されています。
厚生労働省の調査では、関節症による通院患者数は糖尿病を上回り、国内でも多い疾患のひとつです。
原因は一次性と二次性に分かれる
変形性股関節症の原因は、大きく次の2つに分類されます。
一次性
股関節の形に異常がない状態で、加齢や体重増加などによって発症するものです。
日本では比較的少ないですが、徐々に増加傾向がみられています。
二次性
股関節の形状に問題があることで発症するものです。
日本ではこちらが9割以上を占めています。
特に臼蓋形成不全が大きな原因とされています。
進行段階は4つに分類される
変形性股関節症は、次の４段階を経て進行します。
1．前股関節症
軟骨の状態は保たれていますが、股関節の形状に問題がある段階です。
痛みはほとんどありません。
2．初期股関節症
軟骨の一部がすり減り始め、関節のすき間が狭くなります。
痛みが出ることがあります。
3．進行期股関節症
軟骨の摩耗が進み、骨どうしが近づき、強い痛みを感じることが増えます。
骨の変形や骨嚢胞がみられることがあります。
4．末期股関節症
軟骨がほぼ消失し、骨が直接接触する状態です。
症状が強く、日常生活に支障をきたすことがあります。
ただし、変形が極端に進むと、関節が動かず痛みが軽減する場合もあります。
まとめ
変形性股関節症と向き合う第一歩は、「知ること」です。
病気の仕組みを理解することで、治療法の選択や生活の工夫がしやすくなります。
この内容が、少しでも皆さまの不安の軽減や理解の助けになれば幸いです。
関連ページ：【変形性股関節症】保存療法について知ろう
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