腰痛の中には、検査によって原因を特定できるものがあります。
これを「特異的腰痛」と呼び、その代表例が腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアです。
どちらも腰や足に痛みやしびれを引き起こす点では共通していますが、症状の出方や悪化しやすい姿勢には違いがあります。
一般的に、上体を反らしたときに症状が強くなる場合は、脊柱管狭窄症の可能性が高いと考えられます。
一方、前かがみで楽になるケースも多く、姿勢による変化は見分けるヒントの一つになります。
坐骨神経痛とはどのような症状か

脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、坐骨神経痛と呼ばれる症状が現れることがあります。
坐骨神経は、腰から骨盤、お尻、太もも、膝の裏を通り、足先まで伸びている人体で最も長く太い末梢神経です。
この神経が刺激されることで、腰から足にかけての痛みやしびれ、違和感、力が入りにくいといった症状が出現します。
脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の特徴
脊柱管狭窄症では、脊柱管全体が狭くなるため、神経が広範囲に圧迫されやすくなります。
そのため、症状は片側の足に出ることもあれば、左右両方に現れることもあります。
特に50代以降で増加しており、加齢による背骨の変化が大きく関係しています。
背骨は24個の椎骨が積み重なって構成されており、その中央に神経の通り道である脊柱管があります。
この中には脊髄や馬尾神経、靭帯などが通っています。
背骨にゆがみや変形が生じると、体はそれを支えようとして骨や靭帯を厚くします。
その結果、脊柱管が狭くなり、神経の圧迫や血流障害が起こり、痛みやしびれにつながります。
椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の特徴

椎間板ヘルニアは、椎骨と椎骨の間にある椎間板が外に飛び出し、神経を刺激することで起こります。
脊柱管狭窄症とは異なり、ある日突然強い痛みが出ることも少なくありません。
椎間板は、中心部の「髄核」と、それを包む「線維輪」という組織で構成されています。
強い負担や繰り返されるストレスによって線維輪が傷つくと、髄核が外へ飛び出します。
この際に炎症物質が漏れ出し、神経に炎症を起こすことで痛みやしびれが生じます。
ヘルニアは飛び出す方向が左右どちらかに偏ることが多く、症状も片側の足に出やすい傾向があります。
ただし、正中に飛び出した場合は、両側に症状が現れることもあります。
脊柱管狭窄症で起こる「間欠性跛行」

脊柱管狭窄症の代表的な症状の一つが間欠性跛行です。
これは、歩いたり立ち続けたりすると、足腰の痛みやしびれ、脱力感が現れ、休むと楽になるという特徴的な症状です。
症状が進行すると、歩ける距離が徐々に短くなり、外出や日常生活が制限されやすくなります。
活動量が減ることで筋力も低下し、さらに歩きにくくなるという悪循環に陥るおそれがあります。
なぜ間欠性跛行は起こるのか
歩行中は全身で多くの酸素を必要とします。
しかし、脊柱管狭窄症では脊柱管内の血管も圧迫され、神経周囲の血流が低下します。
その結果、神経組織に十分な酸素が届かなくなり、痛みやしびれが出現します。
前かがみの姿勢で休むと症状が和らぐのは、脊柱管内の圧力が下がり、血流が改善されるためです。
加えて、休息によって酸素消費量が減ることも、症状の軽減につながります。
症状を悪化させないために大切な生活習慣
足腰の痛みやしびれを悪化させないためには、日常生活の見直しが欠かせません。
猫背や中腰姿勢は腰への負担が大きくなるため、できるだけ避けることが重要です。
また、喫煙は血流を悪化させる要因となるため、禁煙を心がけることも大切です。
腰や足に違和感が続く場合や、歩く距離が短くなってきたと感じる場合は、早めに医療機関で医師の診断を受けることが勧められます。
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