【難治性の腰痛・股関節・膝関節痛と戦う】大阪市東住吉区うえ接骨院です。
腰部脊柱管狭窄症と診断され、「手術をすると神経が傷ついて車イス生活になるのではないか」と不安に感じている方は少なくありません。
確かに、数十年前にはそのようなリスクが語られることもありました。しかし現在では、医療技術や手術環境が大きく進歩し、過度に心配する必要はほとんどない時代になっています。
本記事では、脊柱管狭窄症の手術がどのようなケースで必要とされ、どんな方法があり、どのようなメリット・デメリットがあるのかを、できるだけわかりやすく解説します。
手術が検討されるのはどんな場合か

脊柱管狭窄症の治療は、原則として保存療法から始まります。薬物療法やリハビリ、注射などを行いながら経過をみるのが一般的です。
そのうえで、次のような状態がみられる場合に、手術が検討されます。
まず、3か月以上保存療法を続けても症状の改善がみられない場合です。
日常生活に支障が出続けているにもかかわらず、痛みやしびれが軽くならないケースでは、手術による根本的な改善が必要になることがあります。
もう一つは、重度の運動障害や感覚障害、排尿・排便障害が出ている場合です。
これらは神経の圧迫がかなり進行しているサインで、いわば末期の状態と考えられます。この段階では、できるだけ早く手術を行うことが重要になります。
手術の目的は「痛みを取ること」だけではない
実際に手術を受ける際には、主治医から手術内容や治療目標について詳しい説明があります。
患者さんが最も多く希望されるのは「痛みを軽くしたい」という点ですが、それだけではありません。
「旅行に行けるようになりたい」「ゴルフを再開したい」「休まずに100メートル歩けるようになりたい」「歩行補助車なしで買い物に行きたい」など、目標は患者さんの生活スタイルによってさまざまです。
手術は単に症状を改善するだけでなく、その人らしい生活を取り戻すために行われます。
手術で期待できる効果と限界
手術療法の最大の利点は、狭くなった脊柱管を広げ、神経や血管への圧迫を直接取り除ける点にあります。多くの方で、手術後に痛みは軽減します。
一方で、注意すべき点もあります。症状が長期間続き、神経障害が進行している場合、手術を行っても痛みやしびれが十分に改善しないことがあります。
特にしびれについては、手術後も約8割の方に何らかの形で残るという報告があります。
脊柱管狭窄症の症状は、馬尾神経や神経根といった末梢神経の障害によって起こります。
末梢神経には回復する力がありますが、障害が長く続くと回復しにくくなります。このため、手術のタイミングが重要になるのです。
手術のリスクと合併症について
どんな手術にも、一定のリスクは存在します。脊柱管狭窄症の手術で代表的なものは、硬膜損傷、神経損傷、術後血腫、術後感染の4つです。
硬膜損傷とは、神経を包む膜が傷つくことです。発生頻度は2~3%程度とされていますが、顕微鏡を使用することでリスクを抑えることができます。
神経損傷は、手術器具による一時的な圧迫などで起こることがありますが、多くは時間とともに回復します。これも顕微鏡手術によって発生率は低く抑えられています。
術後血腫は、手術後に血の塊ができ、再び神経を圧迫してしまう状態です。発生頻度は約3%で、ドレーンを使用することで予防します。
術後感染は1~2%程度とされ、特に糖尿病などで免疫力が低下している方は注意が必要です。事前に全身状態を整えることで、リスクを下げることができます。
脊柱管狭窄症の主な手術方法
脊柱管狭窄症の手術は、大きく分けて「除圧術」と「固定術」の2種類があります。
除圧術は、神経を圧迫している骨や靭帯を取り除き、脊柱管を広げる手術です。

体への負担が少ない低侵襲な方法として、片側侵入両側除圧術や棘突起縦割式椎弓切除術などがあります。
固定術は、背骨の不安定性が強い場合に行われます。

金属のスクリューやロッド、人工骨を使って背骨を安定させる方法で、前方から行う方法と後方から行う方法があります。
XLIFやOLIF、CBT法など、体への負担を抑えた術式も開発されています。
年齢と再手術の可能性を考える
脊柱管狭窄症は加齢とともに進行するため、手術後10年ほどで再手術が必要になることもあります。
75歳以上の方は、体力的な面から再手術を避けるため、除圧術と固定術を同時に行うことが勧められる場合があります。
一方、75歳未満の方では、まず除圧術のみで様子を見る選択がされることも少なくありません。
年齢はあくまで目安であり、最終的には体力や生活背景を考慮して判断します。
納得して治療を選ぶために大切なこと
どれだけ詳しく説明を受けても、手術に対する不安が完全になくなることは難しいかもしれません。
そのようなときには、セカンドオピニオンを受けることが有効です。
別の医師の意見を聞き、同じ治療方針であれば安心につながりますし、異なる提案があれば比較検討することもできます。
治療の主人公は患者さん自身です。遠慮せず医師と話し合い、納得できる選択をすることが、後悔のない治療につながります。
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