【難治性の腰痛・股関節・膝関節痛と戦う】大阪市東住吉区うえ接骨院です。
股関節の痛みが続くと、歩くことや立ち上がることがつらくなり、「このまま悪くなってしまうのでは」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
変形性股関節症は、女性に多く、年齢とともに少しずつ進行していくことのある病気です。
しかし、正しく知り、早い段階から体の使い方や負担の減らし方を意識することで、痛みを和らげたり、進行を緩やかにしたりすることは十分に可能です。
この記事では、変形性股関節症の仕組みや症状、進行の段階をできるだけわかりやすく整理し、これから股関節とどう向き合っていけばよいのかをお伝えしていきます。
変形性股関節症の仕組みと進行を正しく知ることが、これからの体を守る第一歩
変形性股関節症は国内の患者数は約120万～500万人ともいわれており、特に女性に多く、男性の約8倍にのぼるとされています。
股関節は、両脚のつけ根にある人体でもっとも大きな関節の一つです。
上半身と下半身をつなぐ位置にあり、立つ・座る・歩くといった日常動作の起点になる、まさに体の中心ともいえる存在です。
この股関節がスムーズに動くことで、私たちはバランスを保ちながら生活することができています。
股関節の構造
股関節は、骨盤にある「寛骨臼（かんこつきゅう）」というおわん状の受け皿に、太ももの骨の先端にある「大腿骨頭」という球状の骨がはまり込む構造をしています。
正常な股関節では、この寛骨臼が大腿骨頭の約80％を覆い、しっかりと支えています。
これらの骨の表面は、厚さ2〜4ミリほどの関節軟骨で覆われています。
関節軟骨はクッションの役割を果たし、さらに関節の中は関節液という潤滑油で満たされています。
この「軟骨」と「関節液」の働きによって、股関節は痛みなく滑らかに動くことができるのです。
痛みの原因「軟骨がすり減っているから」は本当なの？？
多くの文献では変形性股関節の痛みの原因は以下のように言われています。
【何らかの理由でこの軟骨がすり減ってしまうと、骨同士が直接ぶつかりやすくなり、痛みや炎症が起こります。これが変形性股関節の原因です。】
しかし私は臨床上の経験から変形性股関節症をこのように考えています。
変形性股関節症の痛みについて、「軟骨がすり減っているから痛い」と考えられることは少なくありません。
しかし実際には、軟骨そのものには痛みを感じる神経は存在しません。
つまり、多くの場合、痛みの原因は関節の表面そのものではないということになります。
（※骨同士が直接ぶつかる末期の状態は、この限りではありません）
上記の『軟骨がすり減っているから…』という考え方は末期の状態のことを論じていたのかもしれませんね。
変形性股関節症の痛みには段階があります。※変形性股関節症の４つの段階については後述しています
すべての段階で『痛みの原因は軟骨がすり減っているから』ということは当てはまりません。
すり減った軟骨は元に戻らないかもしれませんが、変形性股関節症の痛みを克服したという方は数多くいらっしゃいますよね。
では、いったいどこが痛みを感じ取っているのか。
関節包、靭帯、筋肉、腱、滑膜など、周囲の組織が関与している可能性があります。
だからこそ重要なのは、「すり減っている」という事実だけに目を向けるのではなく、
評価を通じて、どの組織が痛みの信号を出しているのかを丁寧に探っていくことです。
それが、適切な対処やケアにつながる第一歩になります。
痛みは股関節だけとは限りません
変形性股関節症の主な原因は、股関節の形態異常です。
そのため、痛みが必ずしも股関節だけに出るとは限りません。
歩くと脚のつけ根が痛むだけでなく、
・慢性的な腰痛
・お尻の奥の痛み
・ひざの痛み
・場所がはっきりしない脚の違和感
といった症状として現れることもあります。
これらの症状が続いている場合、股関節が原因となっている可能性も考えられます。
変形性股関節症は段階を追って進行します
変形性股関節症は、次の4つの段階に分けられます。
① 前股関節症
② 初期
③ 進行期
④ 末期
軟骨のすり減りが進むにつれて、股関節は少しずつ変形し、痛みや動かしにくさが強くなっていきます。
治療をせずに放置すると、痛みが慢性化し、歩行が困難になったり、股関節の可動域が狭くなったりして、生活の質が大きく低下してしまうおそれがあります。
早い段階で気づけることが大きな強み
変形性股関節症で特に注目したいのが、「前股関節症」という段階があることです。
この段階では、将来的に変形性股関節症が進行しやすい股関節の構造がすでに分かっています。
つまり、
「将来、股関節に問題が起こる可能性がある」
という予測ができるのです。
これは、病気を未然に防いだり、進行を遅らせたりするうえで、非常に大きなメリットです。
股関節に負担をかけない生活を心がけ、周囲の筋肉を適切に使い、体重を管理することで、高齢になっても自分の脚で歩き続けることは十分に可能です。
治療で大切なのは「股関節を大事に使い続ける」意識
変形性股関節症の治療で重要なのは、
いかに股関節への負担を減らし、自分の関節を長く使っていくかという視点です。
すべての病期を通じて大切になるのは、
・股関節の可動域を保つこと
・周囲の筋肉を維持すること
・体重を適切に管理すること
この3つです。
変形性股関節症は、短期間で治る病気ではありません。
そのため、痛みをコントロールしながら、生活の質を維持・向上させることを目標に、根気よく治療に向き合う必要があります。
手術も含めて「選択肢」を知ることが大切
もし、痛みによって日常生活が大きく制限されている場合には、
関節温存手術や人工股関節置換術といった手術療法を検討することも一つの選択です。
大切なのは、
一人で悩まず、信頼できる専門医の説明を受け、
複数ある治療法の中から、自分に合った方法を選ぶことです。
変形性股関節症の痛みは「どこに、なぜ負担がかかっているか」を知ること
変形性股関節症の痛みを考えるうえで、ぜひ知っておいていただきたい大切な視点があります。
それは、実際に痛みを感じている組織の多くが、内転位で体重がかかることによって強いストレスを受けているという事実です。
内転位とは、脚が体の内側に寄った状態で体重を支えている姿勢や動きのことを指します。
この状態が続くと、股関節周囲の筋肉や関節包、靭帯などに負担が集中しやすくなり、痛みとして現れやすくなります。
単に「軟骨がすり減っているから痛い」と考えるだけでは、痛みの本当の原因を見落としてしまうことも少なくありません。
私の院で変形性股関節症の方を診る際、特に大切にしているのは、次の順番です。
①「何が痛みを拾っているのか」を評価の中から丁寧に探っていくことです。
患者さんは「痛み」があって来院されます。
そのため、どの組織が、どの動きや荷重のかかり方で痛みを出しているのかを明確にすることが、施術の出発点になります。
この過程によって、私たちが本当に向き合うべき「標的」がはっきりします。
②その標的にできるだけ負担がかからない荷重のかけ方をつくることです。
無理に鍛えたり、動かしたりする前に、日常動作や立ち方、歩き方の中で股関節にかかるストレスを減らす。
この２つの視点を持つことが、変形性股関節症の痛みを和らげ、悪化を防ぐための大きな鍵になると考えています。
変形性股関節症に悩む方へ――痛みを和らげる「メンタルコントロール×運動療法」という新しい選択肢
変形性股関節症の原因｜まとめ
変形性股関節症の痛みを考えるうえで大切なのは、単に軟骨のすり減りだけに注目するのではなく、「どの組織が、どのような荷重によって痛みを拾っているのか」を正しく理解することです。
特に内転位で体重がかかる状態は、股関節周囲の組織に大きなストレスを与えやすく、痛みの原因になりやすいポイントです。
まずは痛みの出どころを見極め、その組織に負担をかけない体の使い方や荷重のかけ方を整えていくことが、症状を和らげる第一歩になります。
股関節を守りながら長く使い続けるためにも、評価と負担軽減を意識した向き合い方が重要です。
正しい知識を持つことは、これからの体と向き合うための大きな力になります。
焦らず、ご自身のペースで、股関節と向き合っていきましょう。
関連ページ：変形性股関節症｜本当に楽になったセルフケア
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